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薪ストーブのある暮らし

薪ストーブ。

我が家の薪ストーブは、文字通り我が家の暮らしの中心にある。

「薪ストーブや暖炉や石炭ストーブの火が生き生きと燃えているところを、ハース=炉床(ろしょう)という。ハース=Hearthの綴りがHearth=ハート(心・中心)と似ているのは偶然ではない。ハースは家のハートだからである。薪ストーブは、赤々と燃えて暖かい“家の心”である。」
(「森暮らしの家」 田渕義雄著 小学館刊)

木を伐る話があると、年中問わず飛んでいき、チェーンソーで玉切りにし、アックスで薪割りをする。
薪小屋に積み、十分乾燥させ、やがて寒くなるとストーブに燃やし、暖をとる。時々ストーブの上で煮物をつくって、ふうふういいながら家族で食べる夕食。

好きなモノに囲まれながら、一年をそういった暮らし方で過ごしている。


「アメリカには、こんなことわざがあるそうだ。「薪は、三度人を暖めてくれる」。
一度目は、冬に備えての薪作りのとき。うなるチェーンソーを操り、アックスを振り下ろし、割られたまきを積み上げるという作業を繰り返しているだけで、身体が温まる。

二度目は、燃える薪ストーブのそばでくつろぐとき。炎の具合を見ながら自分で割った薪を足し、ぱちぱちという音を聴きながら座っていると、身体だけでなく心までもリラックスして、心地よく、暖かくなっていく。

三度目は、薪を焚いた火で作った料理を食べるとき。薪を燃やした炎は、コトコトと煮込んだシチューはもちろんのこと、水さえも一段とおいしいものにしてくれる。薪がくれた温かくおいしい料理を食べ、コーヒーを飲めば、おなかの底から温まり、全身に満足感が広がる。」
(「薪ストーブ大全」 夢丸ログハウス全書『夢の丸太小屋に暮らす』 編集部・編/地球丸刊)

薪ストーブは、全てを自分たちの力で行っていかなければならない。でも、面倒な一つ一つの作業があるからこそ贅沢な暮らしがある。お金を出して薪を買ったり、ストーブの着火が自動になっていなかったり、薪の自動供給装置が付いていないからこそ楽しみがあるような気がする。

薪ストーブは、知らず知らずのうちに、子どもたちにいい教材を与えてくれたと思う。
伐った木はすぐには使えない。薪ストーブにくべるためには少なくとも1年以上前から準備をしておかなければならない。

目先の楽しみでなく、ずっと先のことを十分考えていかなければならない。
そのためには今、何をしたらいいのか。人の好意や手助けはもちろん必要だし大切だが、最後は自分の力でやっていかなければならない。

人生の中では、つらく、苦しいこともあるかもしれない。だが、それはいつか必ず自分のために還ってくるということを。

マッチをする。マッチの火がゆっくりと新聞に燃え移り、ほだ木の代わりとして使っている桐の端材に移って行き、太目の薪に絡み付いて燃え上がる。

炎は、最初は静かに、そして元気よく、やがて静かに、真っ赤な美しい熾き火とになって、最後には灰になって畑に撒かれ、自然に帰っていく。

あたかも人生を思わせる過程のようで、薪ストーブの炎を見ているとなぜか静かな気持ちになってくるのは、そんなことが理由なのかもしれない。

最後に一つ、紹介したいことば。
「本当の火は人の心をやさしくする」
(「薪ストーブのある暮らし」 細川英雄・細川たかみ著 筑摩書房刊)

どうぞ、我が家の薪ストーブの前でゆっくりしていってください。