脂肪のおはなし


 人間が生きて行く為にはエネルギーが必要です。エネルギー源として三大栄養素の炭水化物(糖質)、脂肪(脂質)、タンパク質があります。エネルギー源として、とても重要なのは脂肪です。その理由として、炭水化物は日々の生活行動の中で常時消費され、タンパク質は身体成形や成長のためにその多くが使用されるのに対して、脂肪は身体のエネルギー源が不足状態になると威力を発揮するエネルギー源となるからです。脂肪は炭水化物やタンパク質の2倍のエネルギーを放出することができます。
 
 私達の身体を覆っている脂肪の層は、数多くの脂肪細胞から出来ています。この脂肪細胞は、生まれてから思春期ごろまで細胞分裂で増え続け思春期を過ぎると留まり、それ以降は細胞が肥大するのだと考えられてきました。しかし、最近ではある思春期以降でも脂肪細胞は増殖することが明らかになってきました。つまり、成人になっても脂肪細胞は増加することが分かってきたのです。それは、ラットをはじめ牛や豚などを対象とした実験から、哺乳類の脂肪細胞の中に脂肪を増殖させる因子(肥満の素)の存在が確認されたことで次第に明らかになってきたのです。
簡単に言うと、増加してしまった脂肪細胞は伸縮自在であるため、サイズが大きくなることで脂肪層は厚みを増してゆきます。余ったカロリーが脂肪細胞に蓄積されて大きくなるために起こるものです。また、いったん増殖した脂肪の数はほとんど減ることがないため、過去に太っていた人は、一度痩せてもまた簡単に元に戻る可能性があります。 
脂肪細胞は身体の部位ごとに性質が異なっています。下腹部や太ももなどは脂肪細胞が多く集まっています。いわゆる、脂肪の貯蔵庫としての大きな役割をもっているのです。下半身に脂肪がつきやすく、また落ちにくいのは身体の自然な摂理といえます。

 脂肪細胞には褐色脂肪と白色脂肪の二種類があり、それぞれ役割や構造が違います。白色脂肪は油滴の中に沢山の脂肪を蓄えることができ、主にエネルギー貯蔵庫の役割を果たします。褐色脂肪は脂肪を蓄える油滴の大きさが小さく、体温保持や熱源(生きるためのエネルギー)として利用されます。又、成人になるほど、白色脂肪は増加しますが褐色脂肪は年齢を増すごとに減少します。
ただ体重を落としたいなら褐色脂肪を活発にして、体温を高くして内臓を働かせればいいような気がしますが、ダイエットは毎日の積み重ね、あれもこれも制限や決まり事ばかりは続きません。自分自身の身体の事をよく理解して無理のないダイエットをはじめましょう。